TOUSEN®の断熱シート、熱絶縁シリコーンフォーム、シリコーンシーリングフォームがEVバッテリーの熱暴走を防止
EVバッテリーパックの熱暴走:原因・メカニズム・材料ソリューション
TOUSEN® 熱管理ソリューションによる技術的考察
1. 熱暴走とは
リチウムイオン電池の熱暴走(Thermal Runaway)は、発熱量が放熱能力を超えたときに発生する自己加速的な温度上昇現象です。電解液分解や可燃性ガスの発生を引き起こし、最悪の場合は発火・爆発に至ります。主な原因は以下の通りです。
- 内部短絡: セパレーター破損や金属異物により正極・負極が直接接触。
- 外的要因: 過充電、過放電、高電流動作、外部衝撃や圧壊など。
- 材料反応: 高ニッケル正極材料が高温で酸素を放出し、電解液と反応して強い発熱反応を生じる。
一度発生すると、発熱 → 材料劣化 → さらなる発熱 → 温度上昇という正のフィードバックが形成され、モジュール全体への熱拡散(Thermal Propagation)に発展します。
2. 熱暴走管理のエンジニアリング手法
効果的な熱暴走対策には、発生源の制御・熱経路の最適化・材料による保護の3層アプローチが不可欠です。
2.1 発生源の制御
- 製造工程の厳密な管理により短絡リスクを最小化。
- BMSによる温度・電圧・内部抵抗のリアルタイム監視と異常検知。
- 熱安定性の高い電極材料・コーティングの採用。
2.2 熱経路の最適化
- 冷却チャネル設計によりセル間の温度分布を均一化。
- 液冷・空冷などのアクティブ冷却とPCM・ヒートパイプなどのパッシブ冷却の併用。
- セル間・モジュール間に物理的な熱遮断層を設置。
2.3 材料による保護(重点セクション)
構造的対策に加え、高性能な断熱材およびシリコーン系インターフェース材料を使用することで、熱伝播の遅延や絶縁・防火性能を向上させることができます。以下にTOUSEN®が提供する代表的な3種の材料を紹介します。
3. 主要な保護材料
GA-60 エアロゲル複合断熱シート
概要: ナノ多孔質シリカエアロゲルをアルミノシリケートセラミックファイバーで強化した超低熱伝導率の複合シート。
| 熱伝導率 | ≤ 0.025 W/(m·K) |
|---|---|
| 使用温度範囲 | -196°C〜850°C(短時間1200°Cまで) |
| 難燃グレード | UL94 V-0 |
| 用途 | モジュールと筐体間の断熱バリア、ホットスポットの遮熱層 |
GA-60は高温時の熱遮断層として機能し、熱暴走発生時の熱伝播を遅延させることで、システムの安全確保時間を延長します。
HI-370 熱絶縁シリコーンフォーム
概要: 閉孔または半開孔構造のシリコーンフォームで、断熱性・弾性・難燃性を兼ね備えています。広い温度範囲で安定動作。
| 熱伝導率 | 約 0.07 W/(m·K) |
|---|---|
| 使用温度範囲 | -55°C〜200°C(短時間で500°Cまで安定) |
| 密度 | 約 370 kg/m³ |
| 難燃グレード | UL94 V-0 |
| 用途 | モジュール間の充填・防振・熱緩衝層 |
HI-370は機械的クッション性・熱緩衝性・電気絶縁性のバランスに優れ、GA-60と筐体の間に配置するのに最適です。
TY-640 シリコーンシーリングフォーム
概要: 中密度のシリコーンフォームで、防水性・気密性・耐候性に優れ、粘着層付きで取り付けが容易。
| 熱伝導率 | 約 0.064 W/(m·K) |
|---|---|
| 密度 | 約 400 kg/m³ |
| 使用温度範囲 | -55°C〜200°C |
| 絶縁破壊強度 | 約 6.4 kV/mm |
| 用途 | 筐体の縁シール、接合部の断熱・絶縁 |
TY-640は主に外装シーリングおよび二次断熱層として使用され、柔軟性と難燃性により外部からの熱や火炎を防ぎます。
4. 多層適用戦略
- 第1層(高温領域): GA-60エアロゲルによるセル近傍の遮熱。
- 第2層(中間層): HI-370シリコーンフォームによる熱緩衝および防振。
- 第3層(外周部): TY-640フォームによるシーリングと補助断熱。
この多層構造により、熱拡散を遅延させ、構造安定性と安全余裕を向上させます。
5. まとめ
熱暴走は電気化学反応と熱反応が相互に増幅する複雑な現象です。効果的な対策には、電子制御・熱経路設計・多層パッシブ防護を組み合わせたシステム設計が必要です。TOUSEN®のGA-60、HI-370、TY-640の3種材料を組み合わせることで、EVバッテリーパックにおける熱伝播抑制と安全性向上を実現します。
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