マイニング機器向け高性能放熱材料の技術解説|TOUSEN
暗号資産マイニング装置における熱管理の現在地と導熱材料の技術的課題
発表者:CHACE / Tousen Thermal Management Engineering Team
1. マイニング装置の熱課題:工程設計から見た本質
暗号資産マイニング装置は、GPU・ASICともに極めて高い演算密度で長時間連続稼働する特殊な電子システムである。 その特性上、熱流束の集中・長期稼働による性能劣化・構造部材の歪みといった課題が常に存在する。 近年ではハッシュレートの上昇に伴い、単一チップあたりの消費電力はさらに増加し、放熱要求は一般的なサーバ機器よりも厳しくなっている。
設計上、冷却システムは「空冷/液冷」の二極化が進んでいるが、方式に関わらず共通する課題は熱界面材料(TIM:Thermal Interface Material)の性能である。 TIMはMINERの冷却性能を左右する最も基礎的かつ支配的な要素であり、その選定と実装品質には高度な工学的判断が求められる。
2. マイニング装置における熱界面材料選定の要件
マイニング装置のTIMに求められる要件は以下に整理される:
- 長期連続稼働を前提にした熱伝導率の安定性
- GPU/ASIC パッケージ特有の平面度誤差吸収(ギャップフィリング)
- 流動/硬化挙動によるポンプアウト耐性
- 高温(80~110℃帯)での化学的安定性
- 分解・揮発によるヒートシンク汚染リスクの抑制
これらは一般的なPCやサーバよりも高い要求水準であり、特に24/7稼働が常態化するマイニングでは、TIMの材質選定によって性能維持の可否が大きく左右される。
3. マイニング装置における主要TIMカテゴリと工学的特性
3.1 導熱グリス(Thermal Grease)
導熱グリスは微細空隙への追従性と低い熱抵抗を特徴とするため、GPUおよびASIC チップで依然として最も採用率が高い。 しかし、長期運転環境では「ポンプアウト」「乾燥」「熱サイクル応力」の扱いが非常に重要となる。
TOUSEN の TSAD100 / TSAD90 はマイニング装置での使用実績が多く、特に以下の点がエンジニアリング上評価されている:
- 高い熱伝導率(TSAD100):高発熱ASICに向く
- ポンプアウト抑制設計:長期稼働でも接触界面を維持
- 最適粘度設計:手塗り/自動塗布どちらでも安定
▶ TSAD100 製品ページ://www.itousen.com/products/tsad100-thermally-conductive-paste.html
3.2 導熱パッド(Thermal Pad)
GPU VRM、メモリモジュール、ASIC周辺電源回路など、“多点接触・高さ差の大きい領域”では導熱パッドが必須となる。
TOUSEN の SF800シリーズ は、マイニング装置向けに求められる要件との整合性が高い:
- 優れた圧縮弾性により、VRM等の高さ差吸収に強い
- 連続高温安定性(消費電力の高いASICに適合)
- 耐電圧・絶縁性能により電源系の安全性を確保
SF800 の詳細なデータシートは以下の公式ページに記載されている: //www.itousen.com/thermal-pad-factory.html


3.3 相変化型金属TIM(Phase Change Metal Thermal Pad)
近年は GPU/ASIC の熱密度上昇により、導熱グリスから相変化型金属TIMへの置換が一部で進み始めている。 金属相変化パッドは、高熱流束下でも熱抵抗を低く維持しやすい点が利点である。
TOUSEN が提供する相変化型金属パッドは、温度上昇時に軟化し、冷却後は安定した接触界面を形成する構造で、以下のような用途に適する:
- 高電力ASIC用ヒートシンク
- GPUコアとベースプレートの直接界面
- サーバ級マイニングラックの高密度ユニット
3.4 インジウム系金属TIM(Indium-Based TIM)
インジウム系TIMは、金属の中でも最も柔軟性が高く、低温域から高温域まで密着性の高い熱界面を維持できる。 特にマイニング装置のように振動や長期熱サイクルが発生する環境では、金属TIMの中でもインジウム系材料が安定性で優位となる。
代表的な用途は以下の通り:
- 高出力ASICの直接接触界面
- 液冷プレートとの金属対金属接合
- 熱サイクルの多い環境での高信頼TIM
4. マイニング装置におけるTIM適用領域と実装ポイント
4.1 ASICコア
最も高い熱流束が集中する部位であり、推奨TIMは以下の組み合わせである:
- 中負荷帯:TSAD100 / TSAD90
- 高負荷帯:金属相変化パッド
- 極高負荷帯:インジウム系TIM
4.2 VRM・メモリ
高さ差・実装ばらつきが大きく、導熱パッドSF800シリーズが適合する。
4.3 クーラーベース・液冷プレート
広い面積で均一な熱伝導が求められ、金属相変化材料または高粘度グリスが採用される。
5. TIM選定における現場の課題
- 長時間運転に伴う性能低下の予測
- ヒートシンク圧力分布の不均一性
- VRMやメモリの高さ差による熱抵抗増加
- 自動化ラインでの塗布・貼付け品質の再現性
これらの課題は単体材料の性能だけでは解決できず、材料特性・構造設計・実装プロセスの整合が不可欠である。 TSAD100 や SF800 のような安定設計の TIM を用いることで、設計側の許容幅が拡大し、熱設計の再現性向上に寄与する。
6. まとめ:マイニング装置における熱管理の最適化に向けて
マイニング装置は、電子機器の中でも特に過酷な熱環境に置かれるシステムである。 本分野におけるTIM選定は、単に熱伝導率の数値を比較するのではなく、長期安定性・実装条件・パッケージ特性・使用温度帯を総合的に考慮する必要がある。
TOUSENが提供する TSAD100(導熱グリス)・SF800(導熱パッド)・相変化金属TIM・インジウム系TIM は、マイニング装置で求められる要件に対応した材料群であり、現場の設計問題を工学的に解決する選択肢として位置付けられる。
今後もマイニング装置の高出力化が進む中で、TIMの役割はより重要度を増していく。 TOUSEN Thermal Engineering Team は、材料特性の研究と実装プロセスの改善を軸に、より高信頼の熱管理ソリューションを提供していく。
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